世界的に広まるドローンの商用利用。用途も広がるが、規制は国ごとによって違うから注意が必要だ。各国の現状と従来のドローンの課題、そして期待高まる水素ドローンについて解説する。
急速拡大する商業利用の市場規模
2010年代に急速に普及が進むに伴い、ドローンは市民権を得てきた。一般人でも気軽に手に入れられるようになり、民間でもドローンを利用した様々なサービスが各国で登場してきている。工業やインフラ業界における難所の撮影や調査、検査など用途も分野も様々だ。世界的な市場規模は2026年には400億ドルを超えるともされ、経済界では注目のツールとなっている。
その飛躍的な拡大には、COVID-19のパンデミックによってあらゆる移動が制限されたことによる影響も大きいという見方もある。
仕様や国で変わるドローンの利用規制
そもそもドローンとは何か。「Drone」はあくまで通称であり、国際的には「UAV(Unmanned Aerial Vehicle)」(日本語訳では「無人飛行機」)と記されることが多い。期待が寄せられるドローンだが、その利用には規制が多く注意が必要だ。例えば重さによって、規制対象が異なる。日本では200g未満の機体は航空法の適用外となり、ある程度の自由度が出るが、それ以上の機体は航空法の適用対象となる。
また、利用のルールも各国で異なる。例えば高度の制限だ。アメリカや中国においては400フィート以下で飛行をさせなければならない。タイは300フィート以下、日本は500フィート以下、といった具合だ。高度以外にも「日中のみ飛行させる(アメリカ)」「アルコールや薬物の影響下で飛行させてはならない(日本)」「軍事施設や空港、政治施設の近くで飛行させてはならない(各国)」といったように、安全な利用のために、様々な規制が敷かれ、日々改正されている。それだけ大きな利活用の可能性があるといえるだろう。
※利用の際は常に最新の法規制を確認し、自己の責任と判断において実施してください。
期待高まる水素ドローンが持つ可能性
期待が高まるドローンだが、もちろん課題もある。例えばリチウムイオン電池で動くドローンは飛行持続時間が数分~十数分というモデルがほとんどで、用途もまだ限定的だ。しかし現在開発が進む水素燃料で動くドローンは、長いものだとその10倍もの時間、持続飛行が可能なものもある。体積当たりのエネルギーは水素の方が大きく、また、タンクに炭素繊維を使用することで軽量化されるなど、持久性だけではなく積載性の向上も期待されている。そうなることで企業間だけではなく、一般消費者が購入した商品をドローンで配達するなど、利用用途のさらなる広がりが期待できる。技術と規制は日進月歩だ。
空飛ぶクルマに人が乗って、町中を縦横に飛び交う。そんな世界はだんだんと現実になりつつある。そのためには、何よりも利用者の規制への理解と良心が必要であることは、いうまでもない。