エストニアのスタートアップの食用昆虫飼育技術
食糧生産量が圧倒的に足りなくなると叫ばれている昨今、私達はタンパク質危機という問題に直面しています。人口が100億人に達すると言われている2050年のタンパク質消費量は年間1.8億トン、現在の供給量の約2倍と予測されており、2025年~2030年頃には需要と共有のバランスが崩れ始めると危惧されています。
BugBox社の創設者であるErlend Sildは、世界中を旅し、食糧不足による貧困が多くの人々に影響を及ぼしているということを目の当たりにしてきました。昆虫食や昆虫によるタンパク質代替技術は既に存在していましたが、実際の生産現場は非衛生的かつ人間の肉体労働に依存する現場が多く、この現状を新しい方法で変えるべきと考え、2015年に同社を創立しました。現在同社は手頃な価格で栄養価の高い食糧供給を実現する事で、増大する世界的な栄養需要と食糧不足に対応しています。
BugBox社の特徴は、完全自動化された食用昆虫の大量飼育技術です。食用昆虫の飼育農家は、標準化されたプロセスによって、高品質なタンパク質食品を、少ない人的コストで大規模に生産することができます。
このソリューションは、完全に自動化された大量飼育容器、センサー付きの制御ユニット、そして自己学習型ITプラットフォームによって実現されています。これにより生産者は詳細な科学的知識を有せずとも、飼育状況や生産量のモニタリングを行い、生産工程の管理が可能になり、昆虫飼育の効率的な制御が可能になります。
この結果従来の食用昆虫技術と比較し約200倍の生産性を実現、さらには安価かつ動物肉を使わない、よりサステナブルな動物性タンパクの代替品を提供することが可能です。畜産と比較すると食用昆虫生産に必要な水は23分の1、土地の活用も38分の1で済み、1kgのタンパク質生産において生成される温室効果ガスはおよそ2000分の1です。
BugBox社の食用昆虫飼育技術により環境に配慮したタンパク質生産が普及することで、迫りくる食糧問題へ一石を投じることが期待されます。
Website
https://www.bugbox.ee (英語の外部リンク)