使用済みのペットボトルや衣料品、繊維くず、それらを資源として循環させ、再び繊維に生まれ変わらせて、生活を支える
私たちの暮らしは便利になりました。その便利は沢山のモノで支えられています。そのモノはさまざまな企業やそこではたらく人の活動によって支えられています。しかし、企業が、人が、便利を生み出そうとする時、同時に環境への負担も生み出されています。人々の暮らしを豊かにしながら、環境へもなるべく負担をかけたくはない。例えば、私たちの生活で日々発生する使用済みのペットボトルや、不要になった衣料品、工場で発生する繊維くず、それらを資源として循環させることはできないだろうか。
そうして生まれ変わったポリエステル繊維やその繊維を使用してできた製品が「ECOPET® 」です。「ECOPET® 」は1995年の誕生以来50万トン以上を生産。これはペットボトルに換算すると250億本以上、Tシャツに換算すると25億枚以上という数字になります。
現在、環境への意識が世界中で非常に高まっています。その意識は、あらゆる企業活動のベースになり、日本や海外で、一市民として暮らす消費者としての私たち一人一人の行動にも表れてきています。
時は遡り、1990年代、「リサイクル」の法令が整備され始めました。しかし、その概念はまだ浸透しておらず、廃棄物といえば、十分な分別もされることなく焼却や埋め立てされるものでした。そのような時期に、私たちは、まず、ポリエステルと同じ成分からできるペットボトルを原料としたリサイクルを目指しました。ただ、当時の回収されたペットボトルには異物が混入していることも多く、リサイクルされたポリエステル原料にもバラつきがありましたが、安定した品質のリサイクルポリエステル繊維を製造することを目標に、私たちは挑みつづけてきました。
その努力が実り、1995年、リサイクルポリエステル繊維「ECOPET® 」が誕生しました。それを不織布に加工して台所用水切り袋として採用されたのを皮切りに、紡績糸、生地に加工して企業ユニフォームに採用されるなど、リサイクル繊維の製品の範囲も広がり、リサイクル繊維を採用する企業も増えていきました。リサイクル繊維でさまざまな機能的な繊維や生地を実現し、生活のあらゆるところで活躍させ、社会や顧客から信頼を獲得すれば、「リサイクル」へのイメージも変えていけるのではないか。リサイクル繊維でできることが増えれば、美しい地球と共存できるポリエステル繊維となるのではないか。
その思いは、5年後にリサイクルポリエステルの長繊維の生産実現という、一つの形につながりました。開発をすすめる中、世の中では、廃棄物の分別の仕組みができ、リサイクル生産技術も向上し、特殊形状繊維、異なる素材と組み合わせた繊維、ナノレベルの極めて細い繊維までもが生産が可能になりました。また、テキスタイル加工技術と組み合わせることで、生地の風合いや機能を多様化させ、今では、住宅、学校、オフィス、工場、交通機関などの幅広い場面で、生活を支えています。
これからも、循環型社会に向けて、私たちの地球と共存するポリエステル繊維への挑戦はつづいていきます。