• お問い合わせ
  • English
  • 検索

ò
  • HOME
  • Solution areas
    • 人間らしさ
    • 繊維
    • 感性
    • 加齢
    • 環境
    • 住空間
    • 食
    • 移動
    • 超高齢社会
  • Innovation partners
  • Articles
  • Video contents
  • メールマガジン登録

Articles

Articles一覧

持続可能な工業製品の生産・活用を支える新たなリサイクル基盤の構築に挑む

イノベーションテクノロジー環境資源

近年、企業が実践する環境対策には、自社業務における対策だけでなく、顧客や消費者に提供する製品・サービスのライフサイクル全体で排出する温室効果ガスや廃棄物を最小化する施策が求められつつあります。ここでいうライフサイクルとは、製品・サービスを生み出すために必要な部品や資材を作る過程、生産用電力の発送電、さらにはサプライチェーン上での物流、消費者の手に渡った後の製品利用、そして破棄/再利用までの流れを指しています。

リデュース、リユース、リサイクルの3S実現で環境負荷を最小化

こうした製品ライフサイクル全体を俯瞰して環境対策の効果を評価する手法のことを、「ライフサイクルアセスメント(LCA:Life Cycle Assessment)」と呼びます。企業に課せられる各種規制や税金、取引条件などは、LCAに基づいて評価されます。各企業は、事業を営むために必要な物資・手段の調達に加え、販売した後の製品の動きや状態に目配りする必要が生じています。

そして、LCAの観点から効果的な環境対策を実践するため、「循環型社会システム」の構築を目指す動きが加速しています。循環型社会システムとは、天然資源の採取を始点に、製造・加工、流通、消費していく動脈経済と、使用後の廃棄物を分別・回収して再生利用する静脈経済の双方をつないで循環させ、全体の環境負荷を管理・最小化する社会システムのことを指します。

循環型社会システムの実現には、廃棄物の発生自体を抑制する「リデュース」、製品をなるべく長く利用する「リユース」、排出した廃棄物を可能な限り再生利用する「リサイクル」という、いわゆる「3R」の実践を推し進めることで、資源・エネルギーの無駄な消費を削減し、ひいては環境負荷の軽減を目指します。

素材のリサイクル基盤の構築で工業製品の生産・活用を持続可能に

3Rのうち、最も実践が困難なのがリサイクルです。市場に投入したモノから再利用可能な部品や素材を分別・回収することは、かなりの困難を伴うからです。例えば、最近のスマートフォンには、ディスプレイ表面に強化ガラスが使われていますが、これは通常のガラスよりも融点が高く、たとえ回収できたとしても従来設備ではリサイクルできません。リサイクルを前提とした新技術の開発が必要になります。一般に高機能・高性能な部品や優れた特性を持つ素材ほど、リサイクルが難しい傾向があります。

こうした状況を鑑みて、世界中で技術開発や仕組み作りの加速を促す政策が取られるようになりました。例えば、欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は、2020年3月に「New Circular Economy Action Plan(新循環型経済行動計画)」と呼ぶリサイクル材の使用義務化や廃棄削減に対する強制的な措置を提案しています。日本では、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が、都市鉱山からの金属資源のリサイクルに向けた新技術と社会システムを開発する国家プロジェクトを進めています。

ブロックチェーン技術を活用してリサイクル素材を利活用する基盤作り

工業製品から部品や素材を適切かつ効果的にリサイクルするためには、循環型社会システム上のモノの流れである「サーキュラーチェーン」上におけるカーボンフットプリント(発生元の追跡で得られた温室効果ガスの総量)、さらには製品に使用した資源を循環利用するために必要な情報(材料の回収性、再使用や保守・改修の可能性など)を可視化するトレーサビリティの実現が不可欠となります。

富士通は、ブロックチェーン技術を活用して、サーキュラーチェーンの中で高い透明性とトレーサビリティを確保できる情報プラットフォームを構築・提供しようとしています。その狙いについて、同社 Business Operation & Sales Enablement 本部 Division Sales Enablementマネージャー/DX Business Consultantの木下健志氏は、「資源回収・解体事業者や再生処理事業者などの静脈経済を支えるプレイヤーが、ブロックチェーン技術を活用した情報プラットフォーム(図)上で資源を管理することで、情報の信頼性やセキュリティを担保したカーボンフットプリントの可視化や資源の由来証明が可能になります」と語っています。

富士通の木下健志氏

 

図:ブロックチェーンを活用したリサイクル素材の環境価値化プラットフォーム

 

こうした情報プラットフォーム上で再生資源のニーズを参照できるようになれば、既存の取引関係だけに依存せず、自発的に高付加価値ビジネスを獲得できます。これによって、資源循環に向けた取り組みの活性化を後押しできます。

資源の循環サイクルには複雑な経路が存在します。このため将来的には、さまざまな情報プラットフォーム間の相互連携が求められることでしょう。ただし、こうした情報プラットフォーム上では、製品の組成などの技術情報や納品先などの取引情報も取り扱うため、情報の流出リスクがあるとプレイヤーが集まらない可能性もあります。必要な情報のトレースを可能にしながら、情報の開示/非開示を自在に制御できる仕組みが必要となります。

欧州では、製品の製造元や使用材料、リサイクル性などの情報を製品ライフサイクル上で共有する「デジタルプロダクトパスポート(DPP)」と呼ばれる仕組みの導入が検討されています。サプライチェーン上で製品を移動させる際にDPPの添付を義務付け、トレーサビリティを確保しようとするものです。今後、欧州市場でビジネスを展開する企業は、DPP対応を求められることになりそうです。他の地域の市場でも、DPPと同様の仕組みが求められるようになる可能性も十分あります。DPPのような制度に対応するには、サーキュラーチェーン上でのモノやサービスの状態や動きの履歴を管理する情報プラットフォームが欠かせません。

FRPから多様なリサイクル素材へ持続可能な素材活用の対象を拡大

富士通は帝人と共同で、繊維強化プラスチック(FRP)のリサイクルを実現するための情報プラットフォームの構築に取り組んでいます。FRPは高強度でありながら軽量という優れた特徴を備えていますが、繊維とプラスチックの複合体であるため分離が難しく、リサイクルには他の素材以上のコストがかかる点が課題となります。

帝人は、自社で蓄積してきた素材の特性や利用適性などに関する知見と加工・生産などに関わる技術を生かして、リサイクル素材を利活用するための技術開発を進めており、リサイクルが困難なFRPについても、リサイクルの技術と仕組みの確立に挑んでいます。

代表的なFRPである炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、電気自動車(EV)や航空機などの電費・燃費向上に向けたキーマテリアルとして注目されています。このCFRPのリサイクル技術や仕組みが確立されれば、産業界に極めて大きなインパクトを与えることでしょう。その成果を起点にして、他の素材でもリサイクルが活発化する可能性もあります。

FRPのリサイクルを実現するための仕組み作りは前例のない取り組みです。このため現時点では、素材のユーザー企業や回収業者など、ステークホルダーが求める要件が不確実な状態です。富士通と帝人によるFRPのリサイクルに向けた情報プラットフォームの開発では、「ニーズ検証と並行しながら情報プラットフォームをアジャイル開発することで、プロジェクトのQCD(Quality/Cost/Delivery)向上を目指しています」(木下氏)。

両社は、FRPを対象にした情報プラットフォームの商用化を見据え、2022年度内にも実証実験を開始する予定です。先述したように、循環型社会システムを実現するためには、さまざまな素材や製品を対象にした情報プラットフォームを構築し、それらを相互連携していく必要があります。富士通と帝人は、参画企業を募って、循環型社会システムの構築に欠かせない環境価値化プラットフォームの確立と横展開を目指す予定です。

関連コンテンツ

Innovation partners
工業製品の持続可能な生産・活用に向け、素材のリサイクル基盤構築への参画をご検討ください!

2022.10.19

    ご意見・ご要望がございましたら以下よりご連絡ください。
    ※お送りいただいた内容に関するご返信は致しませんので、あらかじめご了承ください。

    This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

    お薦め記事

    • ライフサイクルアセスメント発展の先頭に立って — 持続可能な開発の進捗共……

    • 災害に対する経済活動の備えとしてのポータブル水素燃料電池

    • 曲がり角に立つクルマのマルチマテリアル化(2)モビリティサービスの普及が……

    • リサイクル認証に関する3つの事例

    • イノベーションエコシステム構築に向けた電力会社の取組みとは

    人気記事

    • 持続可能な工業製品の生産・活用を支える新…

    • フェムテックで支える女性の活躍

    • 異業種の協業で脱炭素化を加速、循環型社会…

    • 曲がり角に立つクルマのマルチマテリアル化…

    • 歩行データの解析から、パーキンソン病治療…

    1. HOME /
    2. ARTICLES /
    3. 持続可能な工業製品の生産・活用を支える新たなリサイクル基盤の構築に挑む

    関連サイト

    • アラミド
    • 複合成形材料(英語)
    • 炭素繊維
    • 樹脂・加工
    • 繊維・製品
    • Teijin Mobility Online
    • Teijin Sustainable Mobility
    • The Next 100
      Think Human Exhibition
    • ご利用条件
    • プライバシーポリシー
    • Cookieポリシー
    • ソーシャルメディアポリシー
    • お問い合わせ
    Copyright © TEIJIN LIMITED. All rights reserved.