Solution

廃棄物を減らすリターナブル容器用樹脂

プラスチック製品のリユースからエコを考える


一昔前、飲み物を詰める容器はガラスビンでした。対象となる国の国民性、文化風土、産業事情、環境への意識などにより対応は異なりますが、中身を飲み終えるとガラスビンをお店に返却し、お客には容器のデポジット分のお金が返却されてきました。返却されたガラスビンは回収され、洗浄し再利用する仕組みが一般的に行われてきました。

時が流れるにつれ、私たちは軽さや持ち運びのしやすさなどの利便性を求める中、ガラスビンはスチール缶やアルミ缶、PETボトルに置き換わり、提供する企業や商店はガラスボトルの回収、洗浄、再利用にかかるコストを低減できるため、お互いWin-Winの関係が構築できているように見えました。しかし、その利便性、コスト低減の裏にあるもっと大きな重要なもの、それは地球環境への負担を見落としていたのかも知れません。

1990年代に入り各国で廃棄物の低減を目的に、飲料向けにリターナブル容器を推奨する規制が制定され、欧州ではPET樹脂やPC(ポリカーボネート)樹脂が広く使用されてきました。しかし、これらの樹脂には内容物によっては課題もあり、洗浄条件の工夫や充填する飲料の限定などが必要でした。そこでこれらの課題を解決したものの一つとしてPEN樹脂* があります。この樹脂は飲料ボトル用途だけではなく、その高い安全性から学校給食における食器や業務用のコップなどにも採用されました。

現在、循環型社会が注目される中、比較的リユースのしやすいPEN樹脂にますます注目が浴びることを期待します。


* PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂は,1945年にイギリスICI社によって発明され、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル(NDC)とエチレングリコール(EG)をエステル交換反応・重縮合反応して合成される熱可塑性のポリエステル樹脂。正式名は,ポリエチレン2,6-ナフタレンジカルボキシレート。同じ熱可塑性のポリエステル樹脂であるPET(ポリエチレンテレフタレート)に比べて剛直性が高く機械特性や耐熱性、耐薬品性、ガスバリア性、紫外線遮蔽性に優れ、臭いの吸着が少ない特性があります。

2022.06.20

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